パンオプティック レポート

レポートトップ

home


ナグラー アイピース


C-11を使っているが、175倍で実視界28'のナグラー タイプU16mmは暗い小さなNGC天体が驚くほど良く見えることを発見。観測に出かけるたびに新天体との出会いがある。
これは、昔天体観測を始めたころの感動の日々と似たような気分にしてくれる。

宮城県加美郡色麻町 早坂清喜(Kiyoki Hayasaka,Kamigun-Shikamacho)




14.5inchのStarsplitterIIにバローレンズを装着し、ナグラー9mmで木星を眺める。約550倍。ガリレオ衛星のエッジが立っているのに気が付いた。ガニメデ表面の模様が見えているではないか!このアイピースの結像性能、抜けの素晴らしさは光学系の限界まで余すところ無く再現する。周辺まで完全な点像を示しながら超広視野。DeepSkyにも惑星にも使える汎用性の高さ。
この感動をアル・ナグラー氏に伝えたい。


東京都調布市 木立 繁(Shigeru Kidachi,choufu-shi,Tokyo)




ナグラータイプ5 / 31mm


TeleVue-101(F5.4, Flat-Field APO)、及び、眼視特化の20cmF6ニュートン反射鏡筒と組み合わせ、待ちに待ったNagler TYPE5-31mmの見え味をチェックしてみましたのでご報告します。

第一印象:・・・乱視補正のため低倍率観望では眼鏡着用が必須の僕の目にも、周辺まで極めてシャープで覗きやすい超広角(実視界も本当に広い!)の視野全てが飛び込んできた!!
これこそ待ちに待っていた"SPACE WALK Eyepiece"ではないだろうか。

視野の中の星像は大変落ち着いた印象で、僕のお気に入りのアイピースであるPanopticシリーズ の極めてシャープでフラットな視野の印象を、その高いコントラストを維持しながら少し明るくし、そしてそれをそのまま超広角に拡大した感じに近いように思える。
視野の透明感や明るさについては、そのクリアネスにさすがに驚いた"NaglerTYPE4-22mm" ほどブリリアントな印象はないが、同じナグラーシリーズの中でも、"Original Nagler"や "Nagler TYPE2"に較べては明るい。覗き易さも視野の透明感もシリーズの進化と共に着実に改良されているようだ。この辺りは実際に自らも天体観察を生涯の趣味とするナグラー氏ならではの設計というところだろうか。
特筆すべきは良像範囲の広さ。 これまで覗いた経験のある長焦点超広角アイピース(TeleVue Nagler TYPE4-22mm、同 Nagler TYPE2-20mm、 Leitz Weitwinkel Planokular-30mm 等 :何れも見かけ視界82度以上)の中では周辺迄の星像の良像範囲が最も広い。特に、中心から視野の約80〜85%程度までは全くの無収差と言ってもよいほど点像を維持している。さすがにその外側ではディストーション、非点収差、倍率の色収差が現れるが、TYPE4-22mmで若干気になった像面湾曲は全く感じられず、周辺での対物のコマ収差もF6ニュートンではさほど気になるレベルではない。

ディストーションのレベルはというと、視野の85%程度まではほとんど歪みも感じられず、その外側で急激に歪む印象なのだが、視野最周辺でも丁度見ていた木星の視直径比で30%程度の放射方向への伸び。これなら像高換算でもさほど大きなものではないだろう。その日「月」は無かったけれど、月や惑星などの面積体を視野周辺にでも導入しない限り、通常の星野観察ではあまり気になるものではない。

興味深かったのが非点収差の印象で、"Leitz Weitwinkel Planokular-30mm"にその流れ方が似ていて、輝星では視野中心に対して「放射方向」に淡い「角」が出たようになる。ただその量自体は小さく発生する範囲も周辺部に限られ、星像の「芯」はしっかりしているので微光星ではこれも気にならず、良像範囲が非常に広く感じられる。安価なアイピースで良く目にする「同心円状に伸びた」非点収差像とは全く異なっている。

さて、昼間見たときにさすがに気になった「倍率の色収差」だが、夜間ではこれもほとんど気にならない。月、惑星や明るい恒星など、非常に明るい対象を視野周辺に導入した場合には、上記非点収差による「角」に乗った形で視野中心方向にブルーに色が分かれるが、これも(対物の口径によっても違うだろうが)0等星以上の輝星が視野周辺にある場合のみ分かるレベルだった。

現物を手に取ってみると、その大きさ(Panoptic-35mmが小さく見える!)の割には軽量(といっても約1kg)な印象を受けるが、視野レンズ(スマイスレンズ)は2インチバレルの内側ぎりぎりという大きさで、その内側にこれまた大きな視野絞り(径42mmとのこと)が見え、さすがに2インチではこれが限界なんだなぁというのがよく理解できる。

フィールドストッパ径42mmは、Plossl-55mm(47mm)を除けば2インチアイピース中で最大だし、視野レンズに負のパワーのスマイス系を使うという構造上、実質的には、超広角アイピースの中で最大の実視野を有するアイピースと言えるのだろう。これじゃあ、お気に入りの Panoptic-35mm の稼働率が下がってしまいそうだなぁ(^^;)。

手持ちで使う双眼鏡と違い、望遠鏡の場合には視野を一旦固定して覗くことがほとんど。だから、対象が必ずしも視野の中心にあるとは限らないし、これだけの長焦点超広角アイピースともなると、いくつかの対象が同一視野の中に見えることも多い。それら見える対象が視野の端のほうで大きく歪んでいたり収差でボケでいたりしては少し興ざめだ。 "SPACE WALK Eyepiece"を標榜するからこそ、視野全体に渡るシャープネスとハイコントラストが望まれると思うが、このTYPE5-31mmはまさにそんな気持ちに応えてくれたようなアイピースだ。

20cmF6ニュートンで同一視野の両端に見えるM46/M47、カシオペアからペルセウスにかけての散開星団の群れ、おおぐま座に望遠鏡を向ければ幾つもの銀河が同一視野の中に・・・。
この冬から春にかけての"DeepSky Hopping"がますます楽しくなりそうだ。

・・・ナグラー氏が、また一つ「感動」を与えてくれた。・・・


神奈川県秦野市 佃 安彦 (Yasuhiko Tsukuda、Hadano-Shi,Kanagawa)




購入10日後、やっと天候に恵まれ、じっくりと観ることが出来ました。

ナグラータイプ5 31mmインプレッションお送りします。
使用機種 : タカハシFS128、 NGT―18(両機とも岡根氏所有)

超広角アイピースにも拘わらず、覗き易さ・周辺部まで乱れの少ない像質は今まで観た同種アイピースとは全く次元の異なるものです。パンオプティックシリーズと同質の素晴らしくクリアーでハイコントラストな像が、更にひとまわり広い視野に展開するさまは、この高価なアイピースの真骨頂。一度観てしまうと、以前のアイピースに戻れなくなります。

像質・見え味については、タイプ4以降のナグラーも同様でしょうから、使用する機材、観望対象による選択肢が一つ増えたということ。ただ、シリーズ中2インチ最大級の視野が得られることは、アイピース選択時、大きな判断材料となるでしょう。

収差等については、佃さんがインプレッションで詳細に述べられているとおり。冷静な評価がなされていると思います。視野周辺に輝度の高い星を導入した時に見られる中央方向へのブルーの滲みについては、パンオプティックの最外周部でも同様の傾向を見ましたので、テレビュー特異の性状だと考えます。気になる方は気にするでしょうが、視野全体としての像質が、その欠点を補って余りあるものだと考えます。

FS128では二重星団、NGT―18ではM42などが、良質の広視野をじっくり堪能できる対象としてお勧めです。よく云われていることですが、「良質のアイピースを使用した場合、ニュートン(F4.5)でも、わずかなコマ収差が見えるだけで、さほど気にならない。」まさしくこの言葉どおりのアイピースです。

とにかく、ナグラーにより提示されたNew Product、一見の価値があります。


香川県仲多度郡 山地 隆範(Takanori Yamaji、Nakatado-Gun,kakawa)